ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

はげしく光っている[2022年9月14日(水)晴れ]

昨日の夜はプールで体を洗ったし、気持ちが焦っていたので朝シャワーを浴びずに仕事をはじめてみる。30分ほどやってみて、失敗だったな、と思う。全然頭が働かなくて、文章がうまく出てこない。経験的にルーティンはこなしたほうがいいとわかっているのに、15分ほどの時間を惜しんで結局作業効率が悪くなるのを何度も繰り返してしまう。明日はちゃんとシャワーを浴びよう。でもきっと忘れた頃にまたやるのだろう。

 

集中して仕事。集中モードになると食事の用意がおろそかになりがちで、今日もお昼は恋人がそうめんを茹でてくれた。

友人カップルのHが、「パートナーのNは忙しくなると仕事にかかりきりになって部屋から出てこなくなる」という話をよくする。私はそういうことってないなあと思っていたのだけど、最近はけっこうNのような感じに近いかもしれない。ご飯は恋人と一緒に食べるし、夜もちゃんと寝ているけど、他の作業をしている時も心ここにあらずのようになる。単純に普段やっている仕事は半日程度で終わる/区切れるものが多いから、そうなっていなかっただけなのかも。

 

夕方、17時ごろまで仕事をしたら出かける準備。今日は恋人と中村佳穂のライブツアー「TOUR ✌ NIA・near ✌」を見に八王子へ行く。下りの中央線に乗って一駅ほど通過した頃、隣に立っていた人とたまたま目が合う。すぐに顔を逸らされてしまったのだけど、私が彼の長い髪の後ろ姿を眺め(どこかで見たことあるような……)と考えていたら、その人が驚いた顔で振り返った。Mだった。びっくりしながら「もしかして、中村佳穂ですか」と話すと、驚いて丸くなっていた目がさらに丸くなる。たまたま同じライブに行くために、同じ電車の同じ車両に乗っていて、しかも帰宅ラッシュでけっこう混んでいたのにたまたますぐ近くにいたという偶然。Mはずっと笑いをこらえていて、「電車の中だから我慢してるけど外だったら爆笑してるかも」と言っていた。なんかいいことありそう。ちょっと仕事で張り詰めていた気持ちが一気にほぐれて、フジロックサマソニの話とか、Rina Sawayamaの来日公演に行きたいといった雑談をする。みんな大人で仕事を早めに切り上げてきているので、途中では全員がスマホでなんらかの返信をする時間もあった。

八王子に着いて、会場のところでMと別れる。座席に向かう前にロビーで恋人とプロテインバーを分け合って食べていたら、どこかで見覚えのある女性2人組が前を通り過ぎていく。急いで呼び止めるとやはり知り合いだった。なんだか知り合いによく会えてうれしい。できれば直接会って言いたいな、と思っていた私のちょっとした報告も伝えることができてよかった。

 

ライブもすごくよかった。中村佳穂の歌をはじめてライブで聴いたのは2019年の夏で、蓮沼執太フィルの日比谷野音にゲストで登場した時。声を発した瞬間に大袈裟じゃなく空気が変わった気がしたのが今でも忘れられない。その前後から一気に時の人になってしまったのでなかなかワンマンライブのチケットも取れず、そうするうちにコロナになってしまって、ようやくライブに来ることができた。

中村佳穂が数字を言って、その数の分だけバンドが拍を取る、というコーナーがあるのだけど、今日はそれを1曲目の冒頭で披露。「46!」と言われ、一緒に46数える。最初からそういう感じなので、1曲目が終わった時点で大団円のような盛り上がりに。MCでしゃべっていたと思ったらいつの間にか歌に突入しているのも、フジロックライブ配信などで見ていたけど現場で目撃するとより引き込まれる。バンドメンバーへの愛が強すぎて、曲中でメンバーを大フィーチャーしているのもあたたかい気持ちになった。そして全体的に中村佳穂およびバンドの音楽身体能力が高すぎて、空中ブランコや玉乗りのようなサーカスを見ている気分になる。

元気になる、楽しい、肯定される、あたたかい。何か平易な言葉で表現すべきと感じる力強さがあるのだけど、どの言葉もこの体験を言い表すには足りない。しいて言うなら「はげしく光っている」とか? そんなライブだった。