ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

祝日[2023年3月21日(火・祝)晴れ]

午前中に昨日手が回らなかったゲラに赤字を入れて戻す。そのあとポッドキャストの収録をしようと思ったのだけど、花粉症がひどすぎて断念。冒頭のオープニングを録ろうとするも途中で鼻が詰まり、うまく話せなくなってしまう。昨晩かなり症状がひどく出て、ずっとくしゃみが止まらなかった。そのせいで粘膜が腫れて、鼻腔が狭くなっているのだと思う。午前中に一回、そのあと時間を置いてもう一度挑戦してみたけどやはりダメ。テンションも上がらず、声が暗くなってしまうので今やらない方がいいと思って諦めた。

 

そうしているうちにお昼。恋人も早々にどこかへ出掛けてしまったので、私は一人で新宿をうろつき、その足で下北沢へ。恋人から、ふわふわの卵の上に重量感のある豚カツがのった弁当の写真が送られてくる。プラスチックの弁当箱だけど、縁と内側が朱色に塗られていて、卵の濃い黄色とのコントラストで食欲をそそる。弁当の背景は曇り空、ピントが合っていないからはっきりとは確認できないけど、咲きはじめの桜の木のようなものも写っている。公園で食べているのだろうか。「おいしそう〜」と送ると、「人生で1番おいしいカツ丼だった」と返信があった。おいしいものが食べられてよかった。

私もお腹が空いていて、何か食べたいなと思うのだけど、2時過ぎだというのに下北沢の飲食店はどこも混んでいる。しばらく来ていなかった一番街のあたりなどを歩き、知らないうちにハンバーガー屋が3軒くらいできている、と思う。モスバーガーは変わらずあるが、外壁が新しくなっていた。人混みに疲れてしまって、ずーっと南口のほうまで歩いて、目についた富士そばに入る。もりそばとミニカツ丼のセットを注文。お客さんが私含め2人しかいない。おかげで店内はのんびりした時間が流れていた。店内はちゃんと電気がついているけど、外が明るいか薄暗く感じる。自動ドアの外、晴天の街を若者たちがどんどん通り過ぎていくのを見ながらそばを啜った。違う時空から眺めているみたいだった。

 

BONUS TRACKまで歩いていく。B&Bを見たかったがイベント中なのか15時半まで入れず。月日に寄って、そのあとBOOK LOVER'S HOLIDAYで出店している「本屋メガホン」のブースに立ち寄る。本屋メガホンは社会的マイノリティについて書かれた本をメインに取り扱う書店で、2023年岐阜市にオープン予定。オープンに先駆けて、店主の方が作ったZINE『透明人間さよなら』(いないことにされること、自分の手で恋人をいないことにしてしまうこと、そうした状況を作り出す社会への怒りを、太い線で一筆書きするようなエッセイだった)を売ったり、こうして出店したりしているよう。

今日の出店もZINEが中心だった。けっこう持っているものも多くて親近感を覚えつつ、まだ買っていなかったとれたてクラブ『なかよしビッチ生活』を購入。お会計の際に話しかける。こういうイベント時のあいさつは何度やっても上達せず、気持ち悪い感じになってしまう。SNSでフォローしてもらっていたりすると名前を言えばわかってもらえるかもしれないが、でも名前を言ってもわかってもらえなかったら恥ずかしいな、という思いもあって、整理できないまま話しかけるのがよくないのだと思う。今回もテンパって「私のことをご存知かはわかりませんが……」みたいな、不遜な名乗りになってしまった(実際の言い方は違ったかもしれないけど、もう覚えていない。テンパっていたから……)。でも名前を言ったらわかってくれた。「メガネの印象でした」と言われる。多分、『いちなが』が出た時に受けたある新聞のインタビューの写真を見てくださったのだろう。当時はメディアにあまり顔を出したくなくて、メガネをかけて取材など受けていたのだった。その後「そもそもメガネなんかで変装になるのかよ」と馬鹿らしくなったり、コンタクトを装着することが対外的なスイッチになっていることを実感したりしてなあなあになっていたのだけど、どうやらちゃんと変装になるらしい。最近はメガネをかけずにイベントなどに出ることもあったが、なるべくかけようかな……と思った。特にインターネット上に写真が残りそうな場合は。まあでも気にしすぎな気もしているから、今後もかけたりかけなかったり、ブレブレの方針でやっていくのだろうと思う。

下北沢のTSUTAYAへ移動。3階に「LGBTQ +の本 同性愛嫌悪を終わらせるための最初の一冊」という特設コーナーがあり、「いちなが」が置いてあるのを発見しうれしく思う。写真を撮ればよかった。

 

スタバのコーラフラペチーノが気になっていて、下北沢のスタバへ行ってみるも満席で断念。代々木上原のスタバならどうだろう、と移動してみるも、こちらも満席。このまま諦めようかと思ったけど駅の近くにベンチがあるのを発見し、テイクアウトしてここに座って飲むことにした。

スタバのフラペチーノ、本当に10年ぶりくらいに飲んだかもしれない。スパイスの効いたコーラフロートの味で、でも太い紙ストローで吸うとたまにエスプレッソと砂糖の混ざった甘くて苦い味がする。よくかき混ぜたらコーラとコーヒーの味が同時にするのかもしれないが、そうしなかったので基本コーラ、たまにコーヒーの味、という感じだった。たっぷりのフラペチーノを飲みながらメールの返信をしていく。甘くて、下北沢での人疲れが癒えた。

 

血糖値が上がって眠くなる。本当はこのあとプールへ行こうと思っていたのだけど、眠くてこのまま泳いだら溺れそう。諦めて家に帰る電車に乗ったが、座席に座って数分うとうとしたら体力回復の兆し。これはもう一回うとうとしたら泳げるかもしれないと思って、地元に着いたらすぐに向かい側のホームに停車していた電車に乗って折り返し、うとうとしながらプールへ向かった。完全ではないが、泳ぎはじめたらなんとかなりそうなくらいには回復。頑張って2500メートル泳ぐ。

 

アクティブに動いて、満足げな疲れが体の上にある。難しいことも今日は考えなかった。だらだらと時間を無駄にしたわけでもない。祝日、という言葉の明るさのなかで遊んだような日だった。