ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

個人の息づかい[2021年3月20日(土)曇り]

恵比寿で恋人と買い物をして、店を出てスマホを見たら「宮城県で震度5強の地震」「宮城県沖に津波注意報」というニュース。東京でもけっこう揺れたみたいだけど、まったく気付けなかった。先月東北であった地震東日本大震災の余震だったから、今回も関連したものなのだろうか。どちらにしても、こんなに何年も大きな地震が繰り返し起きるのはどれだけつらいだろうと思う。

 

ガーデンプレイスから恵比寿駅のほうへ、動く歩道を使って戻る。先日まとめ買いして一気に読んだ『違国日記』で、「歩く歩道あるじゃん」「動く歩道じゃない?」みたいな会話が書かれていたことを思い出す。『違国日記』はこういう登場人物同士の些細な会話の掛け合いや言葉遣いがとてもリアルで、同じ時代を生きている人たちの物語だと感じる(「歩く歩道」は回想シーンだけど)。

現時点の最新刊である7巻には、医学部受験で女子の得点が不正に下げられていた問題や、ホモソーシャルの有害性について触れた話が収録されていた。こうした現代的なテーマを物語に組み込みながら、決して問題(や、その解決)ありきにはなっていなくて、「この人がこの事件に直面したらそうするだろうな」と思う姿が描かれている。それは、人物の些細な会話や空気感のたしかな描写に裏打ちされていると感じる。個人の息づかいがまずあって、それが織り重なって時代の息づかいを成しているというか。このマンガについてはまたいずれ書きたい。

 

今日は昼間から出かけていたのだけど、人が多くて歩いているだけで疲れてしまった。あたたかくて過ごしやすい気候だったし、月曜日で緊急事態宣言が解除だと言われたら実質的にはこの週末はもうOKだと判断する人は多いだろう。私も似たようなものだ。

緊急事態宣言の解除前から東京の感染は拡大傾向にあって、だから引き続きあまり外出しないほうが良いのだろうと思う。でも、解除になって今後さらに感染が広がっていくのは間違いなく、だとしたら今が一番感染が収まっている状況ということになる。だったら、今のうちに用事を済ませたり人に会ったりしておきたい。「この2週間が勝負」みたいな気持ちで予定をあれこれと入れてしまいそうになる。何でこんなふうに政策の裏をかくようなことをしているんだろう。それは「政府の方針を鵜呑みにせず、自分で考えるのが大事」というのとはちょっと違う気がする。

大きな声で話している、大学生らしき若者4人組を追い抜く。「卒業式の日は学校行きたい」「それなー」という会話が耳に入る。話はまだ続いていたけど、その先は雑踏にまぎれて聞こえなかった。

 

くたくたになって帰宅。長いこと外にいたせいで、花粉症の症状もひどい。少しソファで休んで、8時半ごろに重い腰をあげて夕飯の準備。温野菜と豚肉。ニュースで「東京五輪の海外客受け入れ断念」。開会式の不適切演出案や文春が報じたMIKIKOさん冷遇・排除の話も醜悪としか言いようがないし、本当にもうやめたらいいのに……。オリンピック関連では今後も色々とひどいニュースが続きそうで、一応書き留めておこうと思う。去年の今頃日記を書いていたのと似たモチベーションが湧き上がってきている。

 

花粉を洗い流したくて、久しぶりに夜に風呂に入る。体の疲れをとるためにバスタブに湯も張った。

浸かりながら、「ウイルスを洗い流すため」ではないんだな、と気づく。たしか去年の今ごろは、一日外にいた日は真っ先にシャワーを浴びていた。