ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

対等な立場で[2020年10月2日(金)晴れ]

朝、久しぶりに7時台に起きられた。短めの原稿を執筆しながら衣替えのため夏物のシャツや短パンを洗う。今日は秋らしいからっとした天気で気分がいい。洗濯物もすぐに乾きそう。

お昼は今日も「キューピー あえるパスタソース」のカルボナーラ。しかし二日連続で食べたこと、単純に量が少なかったことで気持ちもお腹も満たされず、今日はこのあと暴飲暴食に走ってしまった。ポテチを食べたり、中途半端な時間にレトルトのカレーとパックご飯を食べたり。

気づけばそろそろ夕飯を作らないといけない時間だったけど、今日は料理をする気にもなれない。献立が思いつかないし、そもそもスーパーまで出かけるのも面倒臭い。そしてそこにはなぜかただ疲れているとかいうだけではない、もっと根本の部分から湧き上がってくるような強い拒否感があって、キッチンに立つのも嫌だと感じてしまう。これまで自炊はセルフケアの一つとしてかなり有効な手段だったから、(自分に対して使う言葉ではないのだが)まるで人が変わったように受け付けなくなっている状況にかなり戸惑った。

 

そうしているうちに恋人から帰宅の連絡があり、LINEで夕飯について話す。こんな状況なので私は外で食べたく、よく行く焼き鳥屋の名を挙げると「お昼から揚げ定食だったからなあ」と渋られる。続けざまに色々と提案をしてもどれもしっくりこない様子。あれこれお店の名前を挙げた直後に「ごめんやっぱりなんか買って帰ります」と返信が来て、それを見た途端悲しさのような怒りのような感情が湧いてきてしまった。

続けて「ノンアル冷えてる?」とメッセージが来たのだが、それにも(毎回毎回それ聞くけど、朝に確認してから行けよ)と苛立つ。冷蔵庫を開けて「350」とだけ返信して、その缶を力を込めて投げつけた。といっても、冷蔵庫の目の前から庫内に向けて投げただけなので大した距離ではないし、手を離す直前に加減している。缶が割れて噴き出したら掃除が面倒だし、そういう取り返しがつかないことをするほど苛立つような問題ではないのも、頭のどこかでわかっていた。

缶を殴って八つ当たりしているうちに少しだけ冷静になり、自分の夕飯をどうしようか考えだす。生ビールと冷えたトマトが食べたかった。ビールは缶で代用できるかもしれないけれど、トマトは近所のスーパーでは常温で売られていることがほとんどなので、よく冷えたものを食べたいならやっぱり外で食べるしかない。「一人で鳥貴族行ってくるね」と恋人にLINEして、家を出る。

道中、帰り道の恋人と出くわす。「自分も行こうかな」と言われたのだけど、「でもさっき焼き鳥は嫌なんでしょ」と、感情を抑制しながらやや突き放すような態度で話す。こういう時に私は普通のトーンで理路整然と、でも頑なに拒否をする、というようなことをしてしまう。恋人は「わかった」と優しく頷き、家に向かって歩いていく。その背中を見ながら、良くない接し方をしてしまったと反省する。でも、一緒に家にいると感情をぶつけてしまいそうで、それをしないためにも一人になるという選択をとれたのはよかった。その心の動きをちゃんと言葉で説明できたら一番よかったと思うけれど、苛立っている時はなかなか難しい。

今回のことは喧嘩ですらなく完全に私の一人相撲だけど、こうして感情を躊躇する間もなくぶつけそうになるのは恋人に対してだけで、甘えているなあと思う。彼にとっては関係のない苛立ちをぶつけられたらたまったもんじゃないと思うし(自分だって同じことを何度もされたら、その人のことを信じられなくなっていくと思う)、私たちは対等な立場で、同じように殴られたら傷つく心を持っていることを忘れないようにしなくては。

 

鳥貴族では希望通り生ビールと冷やしトマト、それからささみわさび焼を食べながら、恋人に「謎にめっちゃイライラする〜なんだろ〜」とLINEし、あなたのせいではないことをそれとなく伝える。キウイブラザーズのスタンプが送られてきて、言葉はないけれど気持ちは伝わる。「OK!」と書かれたキウイブラザーズのスタンプで返信した。ささみわさび焼のわさびの量が多く、その刺激が冷静にさせてくれる。

 

くだらない話が聞きたくて、今日から配信されたジェーン・スー堀井美香ポッドキャストOver the sun』を聞く。実は夕方アイロンをかけながら一度聞いていたのだけど、今はこのラジオのテンションが一番合っているように感じておかわり聴取。二人の掛け合いのテンポの良さに、二回目でも笑ってしまう。「膣」って何回言ってるんだ。

こういう下ネタ含みのバカ話っておじさんの番組ではわりとある気がするけど、女性、特に中年と言われる40代以降だとあまりないような。こうした非対称性に意識的と思われる点も『ブックスマート』を思い出す*1

女優やモデルだと「いい女」路線に走りがちだし、女性お笑い芸人もちょっと違う。オアシズのお二人の存在とかはブレイクスルーだったと思うけど、本人が意図せずとも「笑い」の磁場で評価される芸人という仕事での振る舞いを、一般人が参考にするのはバランス感覚が難しい。その両極を行き来しつつ、バランスの取り方込みでロールモデルとして先頭を走ろうとしているのがジェーン・スーさんなんだと思う。

とはいえ、私は年齢的にも性別的にも「おばさん」を自称することはできないから、体感をともなう説得力ある言葉は言えず、外野からあれこれ言うだけなのだけど……そしてそれは往々にして偉そうになりがちで、そんなところももどかしいんだけど。

 

楽しい番組を聞きながらビールを飲んでいたらだいぶ気持ちが楽になった。お腹いっぱいのほろ酔いでアイスを買って、帰宅。すると恋人から「冷蔵庫にケーキあるよ」と言われる。この10月で一緒に暮らし始めて3年になるから、そのお祝いでケーキを買ってきてくれていたのだった。そのことも知らず、冷たく当たった2時間前の自分に後悔。

*1:『ブックスマート』は放送を聞きながら思い出していたのだけど、オリコンニュースの記事を見ていたらやっぱり意識していたらしい。良いですな〜。