ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

苦手が連続[2022年10月18日(火)曇り]

今日はこまごまとした連絡をたくさんする日。具体的にはメールをして、必要な情報を確認したり教えてもらったりしてシートに記入していく。こうした事務作業があまり得意ではなくて、いつもつい先延ばしにしてしまう。そしてもう後がなくなっている。

たくさんメールをやりとりするのは小さなボールを原則来た順に、漏れなく打ち返していくような作業だと思う。それは単純作業のようでいて実はいくつかの作業が組み合わさっていて(返信の文面を考える、必要な情報があるか確認する、情報をシートに記入するなど。さらにこの作業がないときには別の作業をすることもある)、効率よくこなしていくためには細かなギアチェンジやモードの切り替えが求められる。多分、これが苦手。私が普段主にしている原稿の執筆や編集の仕事も、完成させるまでに何度かのギアチェンジが必要ではあるのだけど、その切り替えが細かくない。最初の30分で構成を考え、数時間かけて粗く書いていき、翌日に最終的な仕上げをする、くらいの感じで、一つの作業に集中できる。こまめにギアを切り替えて複数のタスクをこなしていく系の事務作業は、自分にとってはかなり負担。123,123……のように繰り返しなのであれば得意なのだけど、メールやりとり系は順番が入り乱れるので、わけがわからなくなってしまう。

 

疲れていると恋人帰宅。10月の頭からいなかったので、実に2週間以上ぶり。重たいスーツケースを玄関から部屋まで運ぶ。洗い物がたまっているキッチンを見て「(出張中にLINEで聞いていたけど)本当に忙しかったんだね」と言っていた。昨日の夜も、飛行機でもあまり眠れなかったようで、時差ボケでだいぶきつそう。それでも帰ってきてすぐ仕事をしていて、恋人は恋人でハードワークだなと思う。

 

こまごまとした作業が好きじゃない理由はもう一つあって、それは達成感を得られないまま時間がすぎていくこと。ひたすらメールの返信や入力をしているだけで日が傾いてきているとがっかりしてしまう。執筆はほどよい疲れとともにできあがっていく何千字かの原稿に手応えを感じられるけど、シートが埋まっていくことに自分はあまり達成感を感じられない。細かなギアチェンジが得意だったりこの作業に達成感を感じたりする人もいて、自分にはないその能力をうらやましく思う。自分は本当に苦手。

なんかこういう時に「クリエイティブな仕事をする人は事務作業が苦手。でもそれでいい」みたいな免罪符が持ち出されることがある気がするのだけど、それもよくわからない。この背景にはクリエイティブ=その人にしかできない、事務=誰でもできるという考えが潜んでいるように思うけれど、私のこの事務作業への苦手さ加減をみればその考えが間違っていることは明白。事務だって誰にでもできる仕事などではなく、適性やスキルがある。

 

日が暮れないうちに夕飯の買い出し。何度も書いているけど恋人出張中は自炊をほぼしなかったので、スーパーで野菜を買うのも久しぶりだった。帰ってきてまた仕事。返信、入力、返信、返信、入力……とてんてこまいになっていると、気づいた時にはもう18時。恋人が私の部屋のドアをノックし、「ちょっともう寝そう。限界かも」と言ってくる。今から作ると遅くなってしまうので、自炊は明日することにして今日は外で適当に牛丼を買うことに。テイクアウトして、家で二人で食べる。私は私で自炊をしない一人の生活リズムが抜けきっていないと痛感。明日から少しずつ取り戻していきたい。

 

恋人、食べたら早々に就寝。私は事務作業は落ち着いてきたけれど、今日はもう一つやるべきタスクがあった。週末に大阪へ行くための新幹線とホテルの予約だ。交通機関と宿の予約も、事務作業同様にめちゃくちゃ苦手……こちらも先延ばしにしまくっていたが、さすがにそろそろ予約しないとまずい。

普通に予約するだけでも大変なのに、「全国旅行支援」のおかげで理解できるレベルを完全に超えていた。旅行代金の40%相当が割引になる制度だが、宿+交通のツアーで申し込むと最大8000円、宿のみだと最大5000円。それならと最初はツアーで申し込もうとしたのだけど、楽天じゃらん、その他の旅行予約サイトとプラットフォームの選択肢が多くてまずフリーズする。旅行の予約って「細かい差はあるが、おおむね同じならとりあえず決めちゃうことが大事」だと思う。私はこの「とりあえず決めちゃう」が苦手で、いちいちつまづいてしまうのだった。

どうにかサービスを決めていろいろ見ていく。すでにホテルの選択肢がかなり少なくなっているうえ(先延ばしにしていた自分が悪い)、サイトにアクセスが集中していてエラーが頻発する。書かれている金額が割引前なのか後なのか自信が持てない。(とりあえず決めちゃうのが大事だから)と心を鬼にして前進するも、すべての決定が最善ではない気がして後ろ髪を引かれる感覚ばかり大きくなっていく。それでもなんとか最後まで進んで、「予約を確定する」ボタンをクリックしたら「このホテルは満室です。別のプランを選択してください」と表示された。脱力しながら下部の「別のプランを探す」をクリックしたら「アクセスが集中しているため制限しています。このページを開いたままお待ちください。待ち時間:50分」の文字。心が折れた……。

 

ツアーは諦めて、ホテルだけ旅行支援を使うことにする。まず「えきねっと」で新幹線を予約。えきねっとのパスワードはなぜかいつも忘れてしまい、利用するたびに変更している。今回も変更した。新幹線も時間や座席を「とりあえず決める」のが苦手なのだけど、さっきに比べたらさくさくと決められた。

そしていよいよホテル予約へ。大阪の土地勘がなく、どこの宿を取るか全然決められない。一緒に行く知り合いが「梅田」と言っていたのでそのあたりを探すも、すでにほとんど埋まっていてちょっと高めのホテルかカプセルホテルしかなかった。いっそカプセルでもいい気がしたけど、もう少し探してみることにする。

30分くらい漫然とホテルを探していた。料金、場所、ホテルの口コミなど、複数の情報にいちいち翻弄されてしまって一生決められない気がする。総合的に判断するということができない。

途中で「会場が北加賀屋なのだから、北加賀屋にアクセスしやすくてそれなりに繁華街(ご飯とか食べやすくて便利)で探せばいいのでは?」と気づく。この気づきが遅い。要領のいい人は探す前にこういう判断ができるのだと思う……。でも、一つ判断基準ができると一気に決めやすくなった。といってもそのあともだいぶ右往左往したのだけど、なんとなくここかな、と思うホテルを選べた。

21時前から調べはじめて、予約を終えた頃にはあと3分で日付が変わるところだった。今日の夜はもっと別のことをして過ごすはずだった……がっくりしながら歯を磨きベッドへ。久しぶりに隣に人がいる。私の物音で目を覚ました恋人にちょっと話すと、「こういう人のために旅行代理店があるんだなと思った」と言っていた。