ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

【お知らせ】日記の本を出版します

『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)

タバブックスという出版社から、初の単著を出版することになりました。

タイトルは『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』。2020年から2022年、新型コロナウイルス東京オリンピック、元首相銃撃事件と本当に色々あった3年間を、夏の時期を中心に収録した日記です。タバブックスのサイトにも情報が掲載されました。

 

tababooks.com

 

内容はこれまでに作った2作の日記ZINEを再構成+2022年の日記+エッセイです。今回は個人で作ってきたZINEではなく出版なので、お馴染みの書店さんでも手に入るはず! 手に取っていただけたら(ぜひ予約も!)、そしてオフラインやオンラインさまざまな場所で話題にしてもらえたらうれしいです。

発売日は10月下旬、10月22・23日に大阪で開催される「キタカガヤフリー 2022 オータム&アジアブックマーケット」にて先行発売となります。

 

装丁は潟見陽さん、装画はチョン・イヨンさんです。

潟見さんはloneliness booksという、アジア圏のクィアジェンダーフェミニズム関連の書籍やZINEを扱うブックストアも運営されています。私もつい最近はじめてお邪魔したばかりなのですが、その時に教えてもらった『yoyo』という韓国のグラフィックノベルが印象に残っていて、この作品でイラストを描いていたイヨンさんに装画をお願いすることになりました。

イヨンさんはイ・ドンウンさんとのコンビでグラフィックノベルを発表していて(ドンウンさんがシナリオ、イヨンさんが絵を担当)、2人のデビュー作は『移ろう季節の中で』。ドンウンさん自身が監督を務めて映画化、レインボー・リール東京で上映もされたので、ご存じの方もいるかもしれません。

表紙になっているのは2021年8月28日、オリパラやら長引く緊急事態宣言やらで参っていた時期に恋人とドライブで出かけた奥多摩の景色です。『yoyo』で印象に残った空や水面の表現の美しさがここでも存分に発揮されていて、完成した絵を見たときは感激しました。素晴らしすぎる装画だと思いませんか……! 潟見さんもイヨンさんの絵が際立つようにデザインしてくださって、装丁案を見た時から同じイメージを共有できている安心感がありました。

日記には書かれた地域の風土や政治が織り込まれるもので、この本も私の個人的な記録であると同時に、2020年代前半の日本・東京の記録になっているのだと思います。アジアのクィアカルチャーに詳しい潟見さんに、そして韓国で活動するイヨンさんにお願いできたことで、その記録を相対化するような視点が生まれたのではないでしょうか。

タバブックスも韓国の本を多数出版しているし、韓国、台湾、香港の出版社や書店もやってくるというアジアブックマーケットで先行販売するのも含め、いろんなことが噛み合ってできた一冊だと感じています。

 

そしてアジアブックマーケットでは10月22日に潟見さんとのトークも決定しました!

 

日記はアクティヴィズムだ

『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』刊行記念トークイベント

小沼理×潟見陽(loneliness books)

「日記を書くことは、日本で生きているゲイ男性の1人としての「アクティヴィズム」でもあった」ー注目のフリーランスライター、小沼理『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』、ASIA BOOK MARKETにて先行発売! 表紙装画は韓国のアーティスト、チョン・イヨン、デザインはアジアクィアカルチャーに詳しいloneliness books 潟見陽。クィアにとって書くこと、表現すること、声を出すこととは。日本とアジアの現状を踏まえながら語ります。

 

概要の冒頭は書籍からの一文、「アクティヴィズム」というのはカルメン・マリア・マチャドの言葉「女性や非白人やクィアな人々にとって、書くことはそれじたい政治的なアクティヴィズムだ」から来てます。イベントの概要案が編集の宮川さんから送られてきたとき「わー、超面白そう」と思ったのですが、なんと恐ろしいことに、面白いかどうかは私次第なんですよ…!! 潟見さんのお話は間違いなく充実の内容だと思いますが、私もちゃんと話せるように頑張ります! 

 

自分の本が出せるのはとてもうれしい一方で、性格的にとにかく自信がなくて気が小さいので、何か致命的な見落としがあったらとか、全然売れなかったらとか考えてよくナイーブになっています。近所の神社にお参りしたいなーと思っても、神道政治連盟の差別冊子が頭をよぎって集中できないし。安心して神頼みもできないのかって思いますね。

制作のために改めて3年間の日記を読み返してみて、まあ本当に歪んだ社会に生きているなと実感します。私の考え方や問題意識もゆるやかに変化していて、特に2022年はセクシュアリティジェンダーの話を積極的に書いていました(書かざるを得なかった、というのもある)。たまたまこうなっただけですが、そのモードの変化を追えるのも面白いんじゃないかなーと思います。でも、これは私が言うことではなくて読者の皆さんに委ねることですね。どんなふうに届くのか、楽しみです。

 

そして最後に。

この本のもとになっているのはこのブログ『ヌマ日記』です。2年前、日記を書く場所としてはてなブログを選んだことに深い意味はなかったです。だけどはじめてみると私よりもずっと几帳面に日記をつけている方や、たまに更新される日記の文章がすごく正直で素敵な方などいろんな方がいて。「同じ時代を生きてるんだなあ」と、いつもそんなこと考えていたわけではないけど時々不思議な気持ちになったし、その並走している手応えがあったから日記を続けられたところがあると思っています。これからも読みに行って、たまに星つけたりしますね。

私も別にブログを畳むわけではないので、次からはいつも通りの日記に戻ります。どうぞよろしくお願いします。