ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

perk[2022年5月8日(日)曇り]

昨夜は久しぶりにリアルのようなことをした。リアルはゲイ向けのマッチングアプリSNSでつながっていた人と実際に会うこと。インスタでつながっていたYくんと三丁目の交差点で待ち合わせ、はじめましてとぎこちなく挨拶する。よく行くという香港料理屋に入り、飲み食いしながらお互いの接点を探す。

そうしながら、この感じ相当久しぶりだなと思っていた。恋人ができてからは初対面の誰かと一対一で会って飲むような機会はほとんどなかったし、コロナ禍になってからはゼロ。最初は不安もあったけど酔いがまわるなかでなんとなく打ち解けたというか、お互いに対して安心していく感じがあって、いい時間だったと思う。二軒目に連れて行ってもらったバーもお客さん同士の会話が多くて、コミュニティに招き入れてもらったようなうれしさがあった。Yくんはこの店の常連で、同じ常連の人との会話から新たな一面を知ることもあった。

 

今朝はアルコールが残っていて体調がよくないが、いい夜だったので後悔はない。午前中は水を多めに飲んだりなどして過ごす。GWは渋谷パルコでカナイフユキさんの展示に行ったり、友人の家でUNOをしたり、恋人と一泊で茨城へ旅行したり、けっこう精力的に遊んでいた。新しい人間関係に飢えている今、他者とともに過ごす時間を持てたこと、やりとりができたことは本当によかったし、旅行も自分だったら行かないような場所へ行けて(今回の旅行は恋人がプランを組んだ)楽しかったと思う。でも、連日のことでちょっと疲れてしまった。本を読んだりプールで泳いだり日記を書いたり、つまり「一人で過ごす」が全然できなかった。そのことにかなりストレスを感じているが、今日一日で頑張って挽回する気力はないし、そもそもそれは何か違う気がする。結局、午前中は何もせずにいた。

 

お昼は恋人が「ロイヤルホストに行きたい」という。恋人はロイホに行ったことがなくて、最寄りのロイホはうちから徒歩20分くらい。もう今は少しでも特別な感じのあることをしたくない、雑に過ごすことが一番精神を回復させてくれるはずなのにと最初は乗り気ではなかったのだが、断るのも角が立つし代替案も思い浮かばなくて、流れに任せた。結局、20分の散歩は気分転換になり、カシミールカレーのスパイスは酔いや憂鬱から覚める味で、食べ終わる頃には来てよかったと思っていた。反発して断っていたら、後味の悪さを抱えながらベッドで寝ているだけだっただろう。

 

帰り道、雑貨屋で数量限定のKneippのバスソルトを買う。ミントを使ったもので、パッケージに使われているペンギンのぬいぐるみの写真がかわいかった。スーパーで夕飯の買い出し。それから夕方までだらだらして、プールかサウナへ行こうと家を出る。体を動かせば気分が変わりそうだったし、大きな水の中で動いた時の、肌に波がまとわりつく感じを体が求めている気がしたが、面倒くささが勝った。サウナだけ行く。怠惰に過ごしてしまって嫌だなと思う気持ちと、自分の快を優先するのも大切なことだと思う気持ちで、プラマイゼロ。

 

蒸し野菜と蒸しブリを作って食べ。夜は「フレンズ」。今年のはじめごろから見続けていたのをついに見終えてしまった……!!完璧な荷造りをしたレイチェルに、モニカが「もう何も教えることがない」と言うシーンで泣きそうに。フィービーは最後までイカれていてガラが悪くて最高だし、笑えてほろ苦いグランドフィナーレだった。

この半年、元気がない夜は「フレンズ」の気楽さ、今と全然違う時代の空気感にかなり救われた実感があって、もう新しいエピソードを見られないと思うと寂しい。本当に親しい友人と離れる時みたいだ。でも、先日会った友人は「自分は何度も繰り返し見てます」と言っていた。思い出して、慰められたような気持ちになる。

余韻にひたりながらWikipediaを読んでいて(小ネタやトリビアがたくさん載っているし、その長さと細かさに編集している人の愛が感じられてすごく好き。なのだけど、いきなりネタバレに出くわしてしまうのである時期から見ないようにしていた)、6人がいつも集まっていたカフェ「Central Perk」の店名の由来にぐっとくる。“店名は、公園名の「セントラル・パーク」と英単語の「perk」(コーヒーを淹れる)及び(〈落胆、病気の後に〉元気を取り戻す)をかけた洒落”。そういえば主題歌の「I'll be there for you」もperkな歌詞だった。あの弾けるイントロが頭の中に流れる。

 

今日の新規陽性者数は4711人、現在の重症者数は8人、死者6人。この数字を記すことにどれだけの意味があるかわからなくなりつつあるが、ひとまず記録を続けてみる。