ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

フィーヴァー[2022年2月20日(日)晴れ]

2月がもう20日も経ったことにおののき、あと一週間ほどで2022年の6分の1が終わることにおののく。2月は28日までしかないから、ジャンプするみたいに3月はいきなりやってくるだろう。怖いような、待ち遠しいような気持ちでいる。

金曜日の夜から首のリンパ節が腫れていた。発熱や風邪症状はないのだけど、体がだるい。昨日はユージーン・スタジオ展に行った以外はゆっくり過ごしたから、少し回復した気がしていたのだけど、起きた時の体調は決して良いとは言えなかった。特に左側のリンパ節が熱を持っている気がする。冷えピタを半分に切って貼った。

恋人が焼いてくれたチーズトーストを食べ、そのあとすぐベッドに戻った。今日の作業ははたくさん手を動かすものではなくて、ぐるぐると考えて糸口を見つけるようなもの。だから横になりながらでもできると思ったのだけど、案の定すぐに寝てしまう。起きたら正午近かった。

体調が悪いだけではなくて、精神的にも元気がない。SNSを見ていたらバリバリ仕事している人の投稿が流れてきて落ち込む。その合間に低気圧で死にそうになっている人のつぶやきが流れてきて、私の不調も気圧のせいかもしれないと思う。真偽は不明だけど、そういうことにしようと思う。体のだるさに苛立ったり進まない仕事に落ち込みそうになったりするたび、これは気圧のせいだから、と言い聞かせる。何度か繰り返していたら、だんだん考えずにいられるようになった。スイッチを切ったみたいに、痛みを感じる回路に電流が走らなくなった。

 

ずっと寝ている私を恋人も心配してくれている。「そろそろお昼食べようかな」「お腹空いた?」「んー、空いたってわけではないけど……」ぼんやりした頭で中途半端な受け答えをしていると、「食べないと次に進めない?」と、こちらの考えを正確に汲み取ってくる。私の習慣を把握している人との会話。「食事でモードを切り替えている」と具体的に言ったことはなかった気がするけど、長く一緒に暮らしていればなんとなく分かるのだろう。言い当てられる心地よさを反芻しながら、昨日の鍋の残りにうどんを入れて食べる。

 

気分を切り替え、ようやくパソコンを開いて少し作業。数時間仕事したら『POSE』を見る。今日はシーズン2のエピソード9と最終話。今月末の配信終了までに見切れるだろうかなんて思っていたけど、もう一周できるくらいのペースで見終えてしまった。

ボールやコミュニティの中の話だったシーズン1に対し、シーズン2ではキャラクター達が社会に出ていく。理解のない社会と対峙するため、コミュニティ間の結束はさらに強い。1よりさらにドラマチックで面白く、夢中になって見た。エピソード9は主人公たちが猛暑のニューヨークを離れてビーチへ出かける、ボーナスステージのような楽しい回。「免許証は雑貨屋で買った」というエレクトラのひどい運転でビーチを目指すシーンが最高だった。白人たちが鳴らすクラクションは、大音量のカーステに合わせて歌う彼女たちの耳には届かない。

その幸せな瞬間から季節がめぐった最終話は暗いシーンからはじまるのだけど、最後には輝く瞬間があった。影が深いほど、スポットライトは眩しさを増す。フロアで光を集める数分間に、本物のライフがある。

あと、シーズン2では(ゲイ)男性と(トランス)女性たちの間に微妙な溝が描かれていて、「LGBTQ+」で一括りにしない描き方がリアルでハードだなあと思っていたのだけど、それを「他者の靴を履く」ような演出で乗り越えようとするのもよかった。

 

夕飯は何かを作る気力がなく、脂っこいものが食べたくて宅配ピザを頼んだ。「今日はこんなだけど、普段の自分はけっこうちゃんと自炊してるし……」と、自分を甘やかす。オーダーしたチョレギサラダに水菜を混ぜて笠増しした。リンパはまだ腫れている。

 

今日の新規陽性者数は12935人、現在の重症者数は87人、死者17人。