ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

あっという間[2021年11月30日(火)晴れ一時雨]

昨日まで4泊5日の長野取材だった。起きてから荷解きをして洗濯。その前も文フリなどで忙しかったし今日はゆっくりしようと思っていたのだけど、出張中にできなかった細かい作業がたまっている。それをこなしていたらあっという間に時間が過ぎていってしまった。

 

午前中はサボっていた出張中の日記。今回の出張は松代と戸隠の取材で、観光スポットの紹介をしつつ自分の主観や感じたこともある程度書ける。メモは取っているし、あとからスポットごとに整理しようと思っているので、日記に書くのが二度手間になるように感じて億劫だった。結局筆が進まず、原稿に書きそうなことはさらっと流れだけわかる程度にとどめ、あとは本当に個人的なことを書き残す。

例えば二日目の松代で見た景色。朝は雨が降っていたけど、取材をはじめた直後に一気に晴れた。山の頂上を隠していた灰色の雲が去ると、ちょうど雲がかかっていたところだけ白く雪が積もっていた。

それから最終日の戸隠五社巡り。よく晴れているもののもう深いところでは雪が数十センチ積もっていて、社務所で借りた長靴に履き替えて歩いた。中社から奥社へ向かう道で、ガイドの方が「皆さんをご案内したいところがあります」と、足跡のほとんどついていない雪道を進みはじめる。歩いているうちに体があたたまってきて、ダウンの前を開ける。ペットボトルのお茶を飲むと、自販機で買ってすぐの時よりも冷たくておいしい。ガイドの方が立ち止まって、左手を見ると真っ白に染まった峻険な戸隠山が目の前にあった。人もおらず、雪でしんとした静けさの中で、一人がキツツキの存在に気づく。木の表面を突く硬いくちばしの音だけが断続的に響いていた。

 

前泊の日に県立美術館で見た、「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」も素晴らしかった。唐招提寺御影堂の障壁画68面を、実際の唐招提寺の造りを部分的に再現して一挙に展示している。最初に見ることになる『濤声』の青色に打たれる。屏風絵だけではなく補助線がたくさん引かれた設計図や下図、練習のためのスケッチも多く展示していて、それらを行ったり来たりしながら全体と細部を交互に見た。そうすると、まず圧倒的な観察眼があり、その上で緻密な計算と準備をして臨んだことがわかる。描くことの前に見ることがある。

「波頭」「海風」など、スケッチの題名に情感があるのもよかった。静止画として描いたものではなく、自然の瞬間を捉えたものなのだということが伝わってくるし、それを受け取ると、絵が動き出すような感覚にもなった。

 

5日分の日記をさらさらと書いたあと、新しい日記本の通販用のページ*1を作ってSNSで宣伝。夕飯の食材を買いに行きがてら家賃や健康保険などのためのお金を下ろし、出張前に作っておいた豚キムチをそうめんに混ぜて食べる。また少し仕事して、日記本を「日記屋 月日」やさっそく買ってくれた人に送るため梱包。一通り終わったらもう17時だった。

 

ニュースで立憲民主党の新代表に泉健太氏が選出されたこと、オミクロン株のことなどを少し読む。忙しかったこともあると思うけど、11月は自分でも驚くほどニュースを追えておらず、また本も読めなかった。立憲民主党の代表候補者の政策も調べていなかったので、泉健太という人がどういう人なのかもよくわかっていない。SNSを見ると、喜んでいる人とめちゃくちゃつらそうにしている人がどっちもいる。時間や余裕がないとこういう「人の声」に自分の意見が左右されやすくなるから、ほどほどに見てやめた。

オミクロン株のニュースは、国内で初確認されたというものと、モデルナ製のワクチンはあまり効かない、というもの。収束していた今が特別で、また夏頃のように感染が一気に増えていくのだろうか。新しい株にワクチンがあまり効かず、いたちごっこになる可能性があるのはわかっていたけど、実際にそうなるとしんどいものがある。

しかし12月は人と会う予定をかなり入れてしまっている。久しぶりの人との約束も多いからできれば会いたいけど、状況を見ながらになってしまうかも。

 

本当はサウナに行って頭と体を休めたかったのだけどもう夕方で、往生際悪く出かけてみたものの雨が降ってきて気持ちが萎えた。家に戻って夕飯を作る。ナスと鶏胸肉の黒酢煮、キャベツの塩昆布和え。味付け、具材の切り方の雑さなど、我が家のご飯だなあと思いながら食べた。夜は時間があったのに本を1ページも読まなかった。11月が終わる。

 

今日の新規陽性者数は21人、現在の重症者数は6人、死者1人。

*1:こんな感じで本にまとめました。