ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

怒り/個人のライフ[2021年8月24日(火)晴れ]

昨晩感じた強い怒りの感情をEvernoteの日記に書きながら、また思い出してすごくいらいらしてしまった。日記には書くことで気持ちが整理されるような、できごとや感情をいったん切り離せるような効果があると思っているけれど、ケースバイケースだなと痛感。

今回のことは昨晩恋人に話を聞いてもらってすでに言語化ができていて、ただあったことを記録しておくために書いたのだけど、「整理」というプロセスがおおむね済んだ感情を文章にしようとすると、スピードが出すぎてしまって心が波立つように感じた。整理されているなら無感情でいけるかと思ったけど、そういうことではないらしい。多分、整理できていても納得はできていないからなのだろう。今回はいろいろあって相手に怒りを伝えることはできないし、また少なくとも怒りのまま伝えるべきでもない。納得できなくても飲み込むしかない状態で、傷口に塩を塗るようなことをしてしまった。

 

思った以上にくらってしまって、午前中はちょっとぼんやりしてしまう。できるだけ怒りから離れていたい。エネルギーを使うし、頭を占拠されて他のことが手につかなくなるのがしんどい。

一方で、もうちょっとうまく怒りと付き合えるようになりたいとも思っている。納得できないことがあったとき、怒りではなく悲しさや諦念に持っていくことに慣れすぎているからだ。そのせいで、私は怒りの持つ何かを動かす力を使いこなせずにいて、人の怒りが獲得した結果にフリーライドしているような後ろめたさが常にある。

それは怒るための筋力が不足しているからでもあるのだろう。怒るための筋力があれば、エネルギーを使っても平気になるかもしれないし、頭を占拠されてぐらつくこともなく、日常と並行しながら怒れるようになるかもしれない。

しかし必要な場面で怒れるようにはなりたいけど、やっぱりできるだけ怒りたくないと思う。怒りが必要かどうかというのも、それこそケースバイケースだし。今回は怒りである必要がない、むしろ穏やかに処理すべきトラブルだった。実際、表向きは穏やかに対応して、誰も傷つけない自分の心のうちで爆発させている。そう考えると、(恋人は付き合わせてしまったけど)まあうまくやれたと言っていいのだろうか。

人に向けて爆発させなかったことはとりあえずオーケーで、より多くを求めるなら「なぜそのことにそんなに強い怒りを感じたのか」を考えることが重要なのだろう。とはいえ、それも体力がいることだ。原因はなんとなくわかっているけれど、ひとまず今は保留。

 

午後から総武線津田沼へ。2023年2月で営業を終了する津田沼PARCOが「津田沼&パルコ」というフリーペーパーを製作しているのだけど、その中のパルコで働く人たちへのインタビューを担当している。店から店へ移動する途中、前回お話をうかがった方と話す時間があって「インタビュー、人柄そのままだねって言われますよ」と言われてほっとした。

表立って活動しているわけではない、目の前の人や仕事に向き合って働いている人に取材をすることが最近は多い。先日の熊本出張もそうした側面の大きい仕事だったし、この津田沼PARCOの仕事もそう。こういう取材はその人の属性や、その職業の最大公約数的なイメージを大なり小なり足掛かりにせざるをえないのだけど(それは読者が読む時もそうで、たとえば「喫茶店のマスター」と聞いた時に多くの人が思い浮かべる像、というのがあると思う)、話しはじめると目の前の人はその最大公約数的なイメージからどんどん離れていく。職業的な肩書きの後ろにその人があったのが、その人の存在が前景化してくる。ぼんやりしたパブリックイメージから、その人個人のライフが解き放たれる。私はいつも、その瞬間を捕まえようとしていると思う。

それができると、たくさんの人を描くことになっても自然と書き分けることができる。パターン化するから同じになってしまうのであって、人はそれぞれ違うということを取材のたびに実感できていれば、似ることはあっても同じになることはないはず、と思う。そしてその実感があれば、個性を際立たせるためだけのあしらいはしたくなくなる。ちょっと何かに似ていると思う言葉でも、その人の本心から出た言葉なら、それを中心に据えたいと自然に考えるようになる。……とかいって、もちろん苦戦することも少なくないのだけど。でも今回の取材は、どれもなかなかいい手応えがあった。

 

帰りの電車の中でパソコンを開き、それぞれの方の印象を、なんとなく原稿のかたちを考えながら走り書き。ある程度書いたら地元に着くまで『ケア宣言: 相互依存の政治へ』を読む。「乱交的なケア」という挑発的なパワーワードが、重要語として連発される。

地元に着いて、米を買って帰宅。恋人が帰ってきて一緒に夕飯。今日からパラリンピックだけど、開会式は見なかった。どんなものであれ、見れば複雑な気持ちになってしまいそうだし。緊急事態宣言の対象地域を拡大する方針を固めた、というニュースも同時に流れてきて、相変わらずアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じ。

 

今日の新規陽性者数は4220人、現在の重症者数は268人、死者9人。