ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

空気は澄んで[2021年7月11日(日)晴れ一時雨と雹]

天気が崩れると聞いていたけどよく晴れている。蜂蜜トーストで血糖値を上げて少し仕事。午前中のうちに恋人と一緒にSEIYUで夕飯の買い出し。なんとなくカレーが食べたかった。S&Bの「スパイスリゾート ケララカレー」がおいしいと聞いたので作ろうと思ったのだけど、みじん切りやすり下ろしなどの工程が多くてめんどくさそう、と思ってしまう。それに材料のセロリも野菜売り場になかった。

SEIYUの生鮮食品売り場は地下にあり、電波が悪くて寒い。ケララカレーは断念したが普通のカレーを作るのは味気なく、何か良いレシピがないか検索してみる。結局、ウー・ウェンさんの夏カレーを作ることに。具材は肉と玉ねぎだけというシンプルなもの。レシピでは豚肉になっているが、肉はなんでもよさそう。切り落としの肉と玉ねぎ、それから付け合わせ用のじゃがいもなどを買う。

 

帰ってきてもまだお昼には早いので、先にカレーを仕込んでおく。煮込んでいる最中にお腹が空いてきたので、隣のコンロでそばを茹で、余り物の夏野菜の揚げ浸しと一緒に食べる。

昼食後は日記書き。午前中は晴れていたのに気づいたら天気が悪くなっていて、昼なのにうす暗いと感じる。そうしているうちに窓の外がぱっと白くなり、雷鳴が響く。光ってから音が鳴るまでの間隔が短く、光か音かがひっきりなしに部屋に届く。近くに落ちそうな気がして少し体を強張らせていると、ざーっと音を立てて部屋の窓を雨が洗った。この部屋は共用廊下に面していて、上階が庇になっているので窓まで雨が届くことは滅多にない。そんなに風が強いのかと思っていたら、次の瞬間ゴツ、ゴツ、と何かが窓を打つ音。見ると、小粒のブドウくらいの大きさの白い塊が擦りガラスににぶつかって落ちていくところだった。

「雹が降ってる!」と興奮気味に恋人に伝えて、2人でベランダから外を見る。雨があまりにも激しく降っているせいで白く煙っていて、その中を黒い蛾が一匹逃げ遅れたように飛んでいた。ザッツ気候変動……と思いながら、2人で何も言わずにしばらく眺める。

 

夕方から髪を切りに行く。すべてをたたき落とすような雨と雹が降って塵が一掃されたのか、空気が澄んでいる。コントラストと彩度が上がったようで、夕暮れの色や街の輪郭がくっきりしていた。

髪を切ってもらいながら話題にあがったのは、やっぱり日中の豪雨のこと。この店は商店街のアーケードの中にあるのだけど、外から流れ込む雨の排水が間に合わなくて店まで浸水したという。「競技中にあんなん降ったら、海外の選手たちびっくりしちゃいますよね」と言っていた。それは本当にそうだ。そもそも東京オリンピックって35度を超えるような酷暑(対策は「打ち水」)とか、東京湾の水質問題とか(対策は「アサリで水質浄化」)、可能性は高くないかもしれないが期間中に大地震が起こったらとか、いろいろ問題含みだった。コロナ対策のことばかり焦点に当たっているけれど、実際にオリンピックがはじまればこうした問題も当然出てくるわけで……本当にちゃんとやりきれるのだろうか。

美容師さんは「無観客になったことで辞退する選手も出ましたね。まあ、無観客じゃやる気出なくて良い結果出せないですよね」とも。たしかに、私は感染を抑えるなら無観客のほうがいいと思っていたけれど、選手からしてみれば誰もいない会場でやってもな、という感じなのかもしれない。なんかもう、誰のためのイベントなのかわからなすぎるな……。

 

開催が目前に迫って、選手たちのスタンスが話題になるのを目にすることもある。「自分が言っても何も変わらない」みたいな態度はちょっと悲しいなと思う半面、参加するという決断をした選手を強く批判することも自分にはできないなと思う。仮に自分がオリンピックに向けて何年も準備を進めていたとしたら、辞退はできる限りしたくないと思うし(無観客であるとか、辞退をする人が増えてきて金メダルが有名無実化するとか、自分が望む形ではないと思ったら別かもしれないけれど)。

こう書くとオリンピック賛成っぽく見えるかもしれないのだけど、そういうことではない。そして選手の思いを尊重したいと思うことと、オリンピックをやってほしくないことは、矛盾しながら(矛盾するようで、ではなく)共存すると考えている*1

なんかもうちょっと、白か黒かではない意見の表明のしかたがあっては駄目なんだろうか。それは不買運動とかを見ていても思うことで、「買わない」という選択ができれば一番良いしわかりやすいけど、嫌な点ばかりではなくて同時に好きな点もあったりなど、はっきり線を引くのが簡単ではない場合が多いと思う。もちろん不買や不使用という判断はその簡単ではなさの上で(場合によっては痛みを伴いながら)行われるものだと思うのだけど、一方で買いながら文句を言うとか、参加するけど意見したり条件を出したりする、みたいな選択肢がもう少し開かれていてもいいのでは。うーん、でもそれでは結局大きなもの、強いものに取り込まれるだけになってしまうのだろうか。

これは参加する選手を批判する人に対してだけでなく、選手に思うことでもある。オリンピックの舞台にかけてきた思いを優先することは批判したくない。ただ、「自分が言っても変わらない」ではなくて、何か考えがあるならやっぱり口にしてほしい*2

髪をばっさり短くしてさっぱり。スーパーで買い忘れたコーヒーフィルターとクミンシードを買って帰宅。カレーを温めながら、副菜のじゃがいもをクミンシードとカレー粉で炒める。ウー・ウェンさんのレシピとは違うが、おいしくできた。

夕飯を食べながら、『#家族募集します』を見る。重岡大毅が演じる俊平が蒼介(仲野太賀)に自分のつらさを吐露するシーンの、仲野太賀の表情の演技に見入ってしまう。TBSの金曜ドラマ、『俺の家の話』『リコカツ』そして『#家族募集します』と、いわゆる「家族」の在り方やその構成員の役割を拡張して再定義するようなドラマが続いていて良いなあ。

 

今日の新規陽性者数は614人、現在の重症者数は61人、死者3人。明日から四度目の緊急事態宣言。

*1:先日書いたフェスへの気持ちも同様で、フェスを今やるべきと思わないことと、アーティストや主催者のことを考えると引き裂かれるような気持ちになることは両立する。ただ先日の自分の書き方が本当にあれでよかったのかは少し迷っていて、何かのタイミングで文章を直すかも

*2:例えば、テニス代表の大坂なおみや錦織圭はオリンピックに関する相反する感情を伝えている。これは5月時点の記事で、二人とも今のところ出場予定のよう