ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

病院をはしご[2021年6月5日(土)曇り]

病院へ向かう途中、電車の中で先生に聞きたいことを整理する。「あれこれ聞いたらめんどくさがられるだろうか」という考えが脳裏をよぎったあと、今かかっている先生は物腰が穏やかで、わからないことや不安なことにもかなり丁寧に答えてくれるから大丈夫、と思い直す。

 

気になっていたことは3つあったのだけど、そのうち2つは聞けた。が、「先日円座クッションを買ったのだけど、使っているとかえってつらい気がする(のだが、やめたほうがいいか)」という3つめの質問は遠慮してしまった。ネットで調べると逆効果だとするレビューもいくつかあって評価が割れているので、先生の判断を知りたかったというのはあるのだけど、自分がつらいと感じるならそりゃ使わないほうがいいだろう、と自己解決した。

でもなんか、たしかに「別に聞かなくていいこと」ではあったのだけど、これは「別に聞いていいこと」でもあるはずで、それなのに聞かないほうを選んだのはなんでなんだろう。(またコミュニケーションのコストを節約したな)と、自分の悪癖が出てしまった気がして落ち込む。円座クッションについて聞けなかったことは別にいいけど、それが自分の癖(しかもあんまり良くないなと思っているところ)に紐付いているとわかると、芋づる式に色々思い出してしばらく引きずってしまう。

 

次に病院に来るのは2週間後。薬局で薬をもらい、駅のサンマルクカフェで仕事。最近、またカフェで仕事をするようになった。家で仕事をするのも特に苦ではないのだが、たまに場所を変えるとリフレッシュできていい。作業量は多くないけどなんとなく気が重くて先延ばしにしていた仕事なんかは、場所を変えて気分を切り替ると着手しやすいし、集中して一気に進められる。今日もそういう類の仕事をこなす。

1時間ほど作業。サンマルクの椅子が固くて、思うように集中できない。患部をかばうように座っているせいか、体に変な負荷がかかってしまって腰が痛くなってくる。しかも1週間くらい前から気になっている首のリンパ節の腫れが低気圧のせいかひどくなっていて、体がだるい。これはよくないかも、と思って早々に切り上げ。駅のホームでイオンウォーターを買って500mlをがぶ飲みする。ペットボトルを首筋に当てると気持ちがいい。体がふらつく感じもあって、もしかして熱があるかもしれないと思う。

 

改札で恋人と待ち合わせ、スーパーでご飯の買い出し。「食欲がないからそばとかそうめんがいいかも」とLINEしていたのだけど、駅に着く頃にはいなばの「とりそぼろとバジル(タイガパオ)」缶の気分になっていた。これだけ聞くと食欲が出てきたように思えるが、というより麺類を啜るのが疲れそうとか、あっさりしたものよりも食欲をそそるもののほうが勢いで食べられそうとか、そういう感じ。

家に帰ってきて、まず体温を測る。36度台前半で熱はなかったけれど、体はだるいのでかえって不思議な感じ。とりあえずジップロックコンテナに入ったご飯をレンジで温める。上に乗せる目玉焼きを焼くため卵を取り出そうとしたら、手が滑って冷蔵庫の中に落としてしまった。「ああー……」と言いながらおろおろしていると、恋人が掃除を手伝ってくれる。思った以上に消耗しているかもしれない。

 

食べながら『生きるとか死ぬとか父親とか』を見たけど、倦怠感が強くて内容がいまいち頭に入ってこず。安静にしていれば治る気がした(というより、そう思いたかった)ので迷ったが、しばらく仕事で休めない日が続くので、総合内科へ行くことにする。まさか1日に2回も病院に行くことになるとは。

待合室は混んでいて、荒井裕樹『まとまらない言葉を生きる』を読みながら待つ。

ここの内科の先生もいつも穏やかで、いつも混んでいて忙しそうだけど丁寧に診てくれる。症状を話すと「コロナ心配?」と聞かれ、「いや、どうなんでしょう……」と言ったら、そのまま流された。「心配です」と言ったらPCR検査だったのだろうか。

PCRはやらなかったけど、念のため血液検査をすることに。肛門の手術をした時にも検査したので、前回から2週間という短いスパンでの血液検査。「悪性リンパ腫っていう、ガンですね。それかどうかも調べますんで」と言われ、カジュアルにガンという言葉が出てきたことにびびってしまう。さっき見ていた『生きるとか死ぬとか父親とか』がまさにトキコの母親がガン宣告を受けた回だったので、その描写に引きずられてよけいに動揺する。

前回の血液検査ではなにも異常はなかったし、診察から血液検査までの時間に悪性リンパ腫の症状を調べたけれど、当てはまる症状はなかった。先生も「検査を受けておいたほうが安心できるでしょう」ぐらいのテンションで、私もあまり心配はしていないのだけど(だからこそこうして日記に書くことができる)、それでもやっぱり気がかり。20〜30代で発症する人も多いと書いてあるし、そもそも体調が悪いと気分が落ちてくるから、ちょっとした心配事にも足を取られてしまうし。

それにしても、なんらかの不調がある状態が続いているのはけっこうきつい。

 

採血を終えて会計。4000円ほどと高かったのは血液検査をしたせいだろう。先日の手術もあったし、医療費がかさんでいる。体調が悪くて仕事もあんまりできず、医療費がかかるみたいな状況って相当きついよな、と思う。私は幸い仕事ができないほど体調が悪化しているわけではないけど、そういう立場の人の不安が以前より少しわかった気がする。本当に少しだけれど。

抗生剤など3種類の薬を処方された。血液検査の結果がわかるのは1週間後。

 

今日の新規陽性者数は436人、重症者数は62人、死者8人。