ヌマ日記

想像力と実感/生活のほんの一部

あいまいさ[2021年1月15日(金)晴れ]

午前中、メールの返信や取材依頼、先日完成した媒体で関わってくれた方に請求書発行のお願いなど。こうしたメールはそんなに時間がかかるものではないのだけど、やりはじめるまでになかなか腰が上がらない。5分で終わる作業が精神的な負担の感覚では1時間かかる気がしていて、自分からメールを送らないといけないような案件はつい後回しにしてしまう(返信は遅くても基本的に1日以内には返すようにしている。)。妙に気を使いすぎているところがあるのだと思う。相手のテンションにあわせて「!」を使ったり、失礼がないように丁寧にしたり。それは誰でもやっていることだと思うけど、ちょっと過剰なのかもしれない。

人とコミュニケーションするときの、自分の文体がないと感じる。友人とLINEをしていても、だいたい相手にあわせるようなかたちで書いてしまうし。実際には文体がないのではなくて、複数ある、というのが正確だと思うけど、不在を感じることはよくある。

 

12時からオンライン取材。その前に昼食用のゆで卵を作る。Twitterで「沸騰したお湯に冷蔵庫から出した卵を入れ、そのまま火を止めて冷めるまで待つと、半熟と固茹での間くらいのねっとりとした黄身のゆで卵ができる」という情報を見て試したくなったのだった。沸かした熱湯に卵を入れて、放置している間に取材。終わってからさっそく食べようと台所へ向かう。

1時間半ほど放置したけど湯はまだ冷めていなかった。意外とお湯の温度は下がらないもんだな、でもこれだと熱が入りすぎてしまうんじゃないかと思いながら卵を取り出す。握ると温かくて気持ちいいが、熱いというほどではない。まだ冷えていない白身は若干柔らかめで、崩れないように注意しながら殻を剥いた。

そうしているうちに人肌ほどになった卵を一口食べて、黄身の様子を見てみる。粉っぽい黄色。中央にほんの少しだけ濃いオレンジ色の名残があるが、おそらく熱が入りすぎである。うーん、鍋に蓋をしていたから熱が逃げなかったんだろうか。今度は蓋を開けて放置してみようと思いつつ、食べればこれもおいしいので大したこだわりがあるわけではないのだと気づかされる。トライアンドエラーは楽しみつつ、このくらいおおらかなのが自分にはちょうどいい。

 

食後に原稿を一本書いてプールへ。いつもより1時間早く行ったら6レーンあるうちの半分が団体利用となっていた。それでも最初のうちはほとんど人がいなくて、完全に自分のペースで泳ぐことができた。18時半を過ぎたあたりから人が増え始め、泳ぎにくくなってきたので少し早めに撤退。今日も前回と同じく1500メートル。

ここのプール、来月半ばから修理のために一ヶ月ほど休業してしまうそう。年が明けてせっかく再びモチベーションが上がってきたのに、ちょっと出鼻をくじかれるような気持ち。その間はどこか別のプールへ行ってみるのもいいかなと思ったけれど、状況次第かもしれない。その頃には感染が下火になっていたら良いなと思いつつ、あまり期待はしていない。

 

帰り道にスーパーで夕飯の材料を買って、帰宅早々に準備。今日は鶏肉とピーマン、カシューナッツの中華炒め。用意をしている最中に恋人が帰宅。今週からリモート前提になったが今日は出社日だったそうで、「会社に行くって疲れる……」と言っていた。食後、金曜ロードショーエヴァをやっているのを思い出し、途中から一緒に見る。「新劇場版:序」はたしか高校生のときに、アニメが好きな同級生に誘われて一緒に見に行ったのだった。2007年公開だから、もう14年も経つのか……エヴァを見たことがない恋人にキャラクターや設定をあれこれ説明し、自分でも忘れているところは調べながら見た。

 

エヴァの後は『バクちゃん』2巻を読む。切なくなるシーンが多くて、読みながら何度も涙ぐんでしまった。もっともっと長く続いてほしい作品だったけど、この巻で完結。単行本にしては分厚いコミックスの左手の分量が読み進めるごとに薄くなっていって、それが寂しくて読む速度を落とす。でも、ラストシーンはこの星に住む人たちの中に物語が溶けていくような感じもあって、だから終わったようで続いていくような、自分の中にかたちのあるものが残ったような気持ちになった。